PALM BEACH RESEARCH GROUP

マーケットの誤算

From 江崎孝彦

先週、中国の不動産バブル崩壊か?

という事で、中国恒大集団がデフォルト危機に
陥っている、、という事についてお伝えしました。

そして今週月曜日には、ダウ、S&P500,NASDAQ、
が揃って急落する、、という展開になりました。

S&P500 日足チャート(ダウもNASDAQも同様の下げ)

(9/22 Trading viewより引用)

ついでに言うとビットコインも急落しています。

BTC/USD

(9/22 Trading viewより引用)

なぜ今、ビットコインの急落も紹介するの?

と思われたかも知れませんが、今、韓国は
デフォルト危機に陥っているみたいなのですが、
そんな韓国で流行っているのが、

「借金してビットコインを買う」

という行為だからです。
(もちろん韓国人全員ではないですよ。そういう
ブームが一部、韓国で起きているという事です。)

ビットコイン価格が下がれば、それだけ
韓国のデフォルトリスクが高まっていくので
お伝えしておきました。

昨日の米株市場は、オープニングから
ギャップアップ(窓開け)上昇で始まりましたが、
終わって見れば、ほぼトントン…

上昇するには至りませんでした。

理由は今晩のFOMCの会合の結果、
パウエル議長が、テーパリングの開始時期
について言及するかどうか、、、
様子見相場となったためです。

大方のコンセンサスは、
今晩の発表ではテーパリング開始時期
については言及しない。

そして、11月に開かれるFOMC会合で
テーパリングスケジュールを発表し、12月から
テーパリング開始というものになるだろう…

という目算です。

それもあって昨日は結局、マーケットは
横ばいという展開で終わったわけです。

多くの人は、投資とは予想して先回りして、
予想が当たれば儲かるし、予想が外れれば損する…

このような固定観念というか考えを
持っている人が多いので今は様子見、、、

みたいな状況になります。
そして、予想が当たった、外れた、

というのはギャンブルみたいで面白い…
というのもあるんでしょうね。

確かに投資の世界の“多く”はそういう世界かも知れません。

しかし、、マーケットの先を予想せずに
(予想する必要がない)いつでも買っていい。

株価チャートを見る必要もなく、、

買って放置…

後は何もしない…

こういう投資の世界もあるわけです。

我々が“大富豪の投資術”と言っている投資戦略です。

まずはそういう投資から開始する、、、
というのをオススメしますが、
今日はその話よりもまだ中国の話です。^^)

欧米を中心に多くの人は、

「中国恒大集団はデカすぎて潰せない…」

「だから必ず救済する。」

という感じでかなり楽観しているようです。

そのため、中国不動産大手、恒大集団リスクで
下げたのは月曜日だけで、昨日にはもうリバウンド
の動きを見せました。
(テーパリング懸念で結局、上昇しませんでしたが…)

まず事実ベースの話を言うと、、、

恒大集団は今月23日、29日に大きな返済期限が迫っているそうです。

そして、そこで恒大集団が返済できない事は
確定していて、だから中国政府が救済するだろう…
と市場予測が起きているのです。

個人的にはこれがかなり危ういと思っています。

理由は前回のメールでもお伝えしましたが、
中国政府は今、かなり苦しい状況にあります。

地方政府も、上海、北京を除いた
全ての省が赤字だそうです。

そして、不動産市場において厳しいのは、、
恒大集団だけではありません。

他にも大手不動産ディベロッパーが
軒並み経営不振に苦しんでおり、、

少なくとももう1社は、1年以内にキャッシュが
枯渇してデフォルトするから、地方政府に対して
税の免除を申請しています。

恒大集団の借金総額は30兆円規模にまで
及んでおり、ここまでの規模ではないにせよ、

そういう不動産ディベロッパーが他にも
いくつもあるところで、本当に共産党政府が
助けられるのか?

という疑問があります。

もちろん「一切助けない…」という事はないでしょう。

特に外国人投資家向けの債券とか、そういうのは
助けていかないと、外国人投資家が中国市場全体から
離れていってしまうため、中央政府にとって
マイナスになるそういうのは救済していくと思います。

しかし、国内の中国人投資家とか企業、
ファンド等に対してはかなり悲惨な状況に
なりそうなのです。

そういう意味では、、月曜日1日の
急落では済まない可能性は十分ある、、、

という事です。

欧米の価値観と中国共産党の価値観、、、

これは全然違う事を、欧米の投資家は
見誤っている可能性がある、、という事です。

そして、FRBのパウエル議長が中国のそういった
事情をどこまで把握されているか分かりませんが、

中国不動産バブルのドミノの崩壊が始まっている…

こんなもんじゃ収まらない…という事を掴んでいるとしたら、
11月になっても、状況は改善しない、、

だったら、後ろにずらせばずらすほど
テーパリング開始できなくなるから、、

「今日、テーパリングの開始時期は発表しておこう」

みたいな判断が入る可能性も少しはあるのかもしれません。
(可能性としては低いですが、、警戒しておく必要がある)

マーケットは、想定の範囲内の事が起きている間は、
そこまで大きく下げる事はないのですが、

想定外の事が起きた時には暴落する事もあります。
(コロナショック程ではないと思いますが)

私から言える事は、、、

欧米の投資家が想定している以上に中国の不動産市場は、
危険水域にある(恒大集団だけじゃない)

欧米の投資家が中国共産党の価値観を見誤っている可能性がある…

テーパリングリスクはそこそこ高い…
(大方の予想は、明日の朝にはスケジュールは出ない、
となっているため、万が一出れば株価は急落する可能性あり)

テーパリングについては明日には結果が出てきますが
中国の不動産バブルをめぐる状況はしっかり警戒して
おいた方がいいでしょう。

まずは明日のパウエル議長の発言に注目です。

良い投資を!

江崎孝彦

著者