PALM BEACH RESEARCH GROUP

スペシャルレポート:米国配当王 厳選3銘柄

執筆:ショーン・マッキンタイヤ

1円が毎日2倍になったとする。それを1ヶ月間続けたらいくらになるだろうか?100円?1000円?100万円?
全然違う。1円から始めて、それを毎日2倍にしていくと、21億4,748万3,648円になるのだ。たった1ヶ月で21億円だ。これこそが複利である。
元金の1円が、次の日には2円になる。そして、その2円が次の日には4円になり、さらにその次の日には8円になる。

このような成長率は、ただ自分の資産が利子を集めているだけではなく、利子で得た資産も元金となって利子を集め始めるのだ。このようにして、雪だるま式に資産は積み重なっていく。
これこそが複利の力であり、この力はお金を稼ぐ上で、最も強力な力でもあるのだ。それは、アルバート・アインシュタインが、複利を世界の8番目の不思議と呼んでいるほどだ。

複利の力を活用するには、高い評価と利益を生み出す力を持った資産が必要になる。
資産には、「評価額が高いもの」と「収入を生み出すもの」の2種類がある。
もし評価額が高く、しっかりと配当金を支払う株式を所有しているならば、複利を味方につけて大富豪への道を歩むことになるだだろう。

二重の複利で富を築く方法

定期的な複利が富を増やす力を持っていることはすでに伝えた通りだ。
しかし、さらにそこにプラスする方法もある。この方法は、資産のリターンではなく、そのリターンがどれだけ伸びるかが重要になってくる。 

投資先によってはすぐに収入を上げることができる資産もあるが、その収入額が毎年変わらないということはまずありえない。場合によっては、債券と同じように、金額がまったく上昇しないことすらありえる。もしくは、時間の経過とともに収入が減っていくこともある。 

そんな中でも私が好きな投資先とは、年々収入の支払いが増え続けるものだ。

賃貸不動産のように毎年家賃を増やせる資産や、配当金が毎年上がっていく銘柄などがその代表例だろう。 

株式を保有することで支払われる収入のことを配当金と言うが、そこで得た配当金は、そのまま同じ銘柄に再投資することができる。そうすることで複利を味方につけられるのだ。
このプロセスがどのように富を築くことができるのか、例を挙げて解説していこう。

例えば、年間平均配当金が6.4%(S&P500インデックス・ファンドで再投資した際の利率)に100万円投資したとする。
そうすると30年後には、その100万円が643万561円になっている。
悪くはない金額だろう。しかし、配当額が増加することで、さらに利益を上げるができる。
例えば、年間6.4%の配当金を支払う銘柄が、その配当金額を2年目は6.72%、3年目は7.06%というように、毎年5%増加させたとする。
下のチャートを見てほしい。この成長率がどれほどの影響力を持つか驚くはずだ。

見てわかるように、最初の数年は通常の複利とほぼ同じように推移していく。しかし、時間が経つにつれて、ロケットのように急上昇していくのだ。 
さらに、元々の投資額と配当金の比率を表すコストに対する利回りも非常に優れていることが分かる。
これにより、30年後には、現金だけで年間1100万円以上も稼いでいることになる。実に元金の10倍だ。これが二重複利の力だ。

つまり、二重複利とは、通常の配当の再投資で得られる複利成長と、配当それ自体が増えることで発生する複利成長の2つが掛け合わさることで、さらに強力になったものということになる。

二重複利の銘柄を探す方法

二重複利を得るための投資先として選んでいけないのは、債権や国債だ。
かつて、これらの資産は投資家の主な収入源になっていたが、ここ何十年にもわたって金利は低下している。
例えば、2020年8月現在、日本の10年物国債の所得利回りは約0.01%である。
つまり、年間100万円を稼ぐためだけに、100億円も投資する必要があるということだ。
一方、株式市場は国債よりも優れている。
毎年のように配当金を増加させている企業は少ないが、一部の企業では、5~10%増配することは珍しくなく、7~12年ごとに配当金が約2倍になっている。 
ここで忘れてはいけないのは、初期投資の後に追加投資する必要がないということだ。時間が経つにつれて、勝手に富を築いてくれる。
あなたは何もせず、配当金に働いてもらうだけでいい。

例えば、20年前にジョンソン・エンド・ジョンソンに1万ドル(約100万円)投資したとする。この会社は、58年連続で配当金を増やしており、過去3年間の平均増加率は19%を記録している。
そうすると、20年後には次のようになっている:

配当金を再投資して複利を使うことで、同社のポジションは5万1,272ドル(512万円)にまで膨らむことになる。「何もしない」で、元金の5倍ものお金を手にすることができたのだ。
PPGインダストリーズ(PPG)とシャーウィン・ウィリアムズ(SHW)も良い例だろう。
PPGPPGインダストリーズの利回りは2006年末近では約2.81%だった。
2006年に同社の株を購入した場合、配当金額は2006年から2020年までに191%も引き上げられ、1万ドルの投資が9万259.80ドルにまで成長したことになる。

また、現在の配当利回りは2006年の2.86%から1.82%である。利回りが2006年よりも低いことには理由がある。配当金よりも株価の上昇の方が早かったとのだ。つまり、しっかりと事業を行い、その結果として、配当金が増えると同時に評価が上がり、株価がそれ以上に上昇したということだ。
シャーウィン・ウィリアムズは配当金の再投資と複利の力をさらに体現した会社だ。
2006年12月末の同社の利回りは約1.60%だった。
PPGのように、SHW株は51.66ドルから651.25ドルまで毎年値上がりしている。
つまり、もし2006年にこの株を購入していたら、1株あたり0.83ドルから4.94ドルに495%増配されていたことになる。1万ドル(100万円)の投資が43万1,782.15ドル(4317万円)に成長するということだ。

現在の配当利回りは2006年の2.86%から1.82%である。
上記のPPGのように、配当金の支払いよりも株価の上昇の方が早かったということは、この会社は株主に報いる会社であり、事業がしっかりしているということを意味している。

これらの企業に投資したとすると、今年の利回りに対するコストは10%以上になる可能性が高い。
ゼロ金利が広がる市場で世界でこれだけ安全かつ高い利回りを実現してくれる投資先はあるだろうか?
事業成績が安定し、配当金が増加する企業に投資することの大きなメリットはここにある。二重複利という魔法を使えば、勝手に富が築かれていくのだ。
この戦略を実践し、最後の最後まで株式を売らない勇気があれば、ほぼ全ての投資戦略よりも良いパフォーマンスを上げることができるだろう。
そして、この戦略はあなただけを裕福にする装置ではない。子供や孫に渡すことができる莫大な資産を残すことができる装置でもあるのだ。

「雪だるま効果」を利用しなければならない理由

ここまで説明してきたように、複利はすぐに効果を出し始める。
1年目よりも2年目、2年目よりも3年目と、どんどん金利が増えていくのだ。
複利を利用すれば、投資資産が時間の経過とともに指数関数的に成長する。それはまるで雪だるまが丘を転がり、どんどん大きくなっていくようなものだ。そして、この「雪だるま効果」をあなたの生活に取り入れる方法は、おどろくほどシンプルだ。

1.株を購入する
2.配当が口座に入金されたら、再投資して株を買い増す
3.売らない(配当を貰う権利を失ってしまわないように)

この方法では、投資している期間をできる限り長くして、年々富が増えていくことを狙っている。だからこそ、可能な限り早くから投資を始める必要がある。
今日から、ぜひ自分の資産をを倍増させるための練習を開始てほしい。
もしすでに投資をしている人は、まとまった金額が手に入り次第、投資額を増やすべきだろう。 
できる限りで大丈夫だが、総所得の15%を投資することをお勧めする。時間を味方につけることで、結果は大きくなり、富も大きくなる。

しかし、どこに投資するべきか疑問に思うかもしれない。
そんな人のために、「複利効果」が得られるおすすめの配当成長銘柄を4つ紹介しようと思う。
ここで紹介する企業はしっかりと利益を上げており、株主に利益を還元することにも注力している。さらに、コロナショックの間でも、配当金を増やし続けることができている。 
 

-配当の王様株#1-ターゲット・コーポレーション(TGT)

銘柄名 ターゲット・コーポレーション
シンボル:TGT
時価総額: 649億ドル
配当利回り:2.1%
現在の1株当たりの配当金:2.72ドル
配当金の連続増加年月:53年
過去10年間の年間平均配当金増加率: 22.4%/年
直近の増配:2020年6月11日
投資先情報 :ターゲットは、米国最大級の小売店、食料品店、家庭用品店の一つであり、日常品を格安で販売している。1902年に設立され、2018年には約754億ドルの収益を上げている。
配当金を再投資した場合の20年間のリターン: 409.27%
配当金を再投資しない場合の20年間のリターン: 315.29%


 
 

-配当の王様株#2-ジョンソン・エンド・ジョンソン (JNJ)

銘柄名:ジョンソン・エンド・ジョンソン
シンボル:JNJ
時価総額:3,890億5000万
配当利回り:2.74%
配当金の連続増加年月:58年
現在の1株当たりの配当金:4.04ドル
過去10年間の年間平均配当金増加率:9.2%/年
直近の増配:2020年4月14日
投資先情報:
ジョンソン・エンド・ジョンソンは世界最大の老舗ヘルスケア企業だ。この記事を書いている時点でCOVID-19ワクチンの作成にも取り組んでいる。ジョンソン・エンド・ジョンソンは、包帯などの製品を提供する世界最大級のパーソナルケアプロバイダーでもある。
配当金を再投資した場合の20年間のリターン:432.53%
配当金を再投資しない場合の20年間のリターン:309.52%


 
 
 

-配当の王様株#3-アルトリア・グループ(MO)

銘柄名:アルトリア・グループ
シンボル:MO
時価総額: 773億2000万ドル
配当利回り:8.3%
現在の1株当たりの配当金:3.44ドル
配当金の連続増加年月:51年
過去10年間の年間平均配当金増加率:14%/年
直近の増配:2020年7月27日
投資先情報:
アルトリアは何十年も前からタバコや無煙タバコの生産・製造・販売を行っている世界最大級の老舗企業である。最もよく知られているブランドはマルボロで、米国でのたばこ売上高の推定40%の市場シェアを占めている。
配当金を再投資した場合の20年間のリターン:2,189.62%
配当金を再投資しない場合の20年間のリターン:590.39%

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